NOVANTA社 高分解能THz分光器 HASSP-THz

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HASSP-THz 高分解能テラヘルツ分光器

HASSP-THzは、周波数分解能が最大1GHzで且つ、測定可能なスペクトル領域が6.5THz以上のテラヘルツ時間領域分光システムで、科学的研究の応用に適しています。透過、反射、ATR(全反射減衰)測定のすべてに1台で対応しており、500μm以上の焦点での透過測定が可能です。パージ式ガス置換または真空排気ができ、たった100秒のデータ取得時間で最大90dB以上のダイナミックレンジが可能です。ビデオレート分光では、最大60dB(典型値)のダイナミックレンジが得られます。

高速ASOPS(非同期光サンプリング)の構成
繰り返し周波数がわずかに異なるように設定したポンプ光とプローブ光の間の時間遅延をスキャンする。(fR~1GHz)この差 ΔfR によって、スキャンレートが決定され、繰り返し周波数の逆数 1/ΔfR によって、測定時間窓として1ナノ秒が定まる。ここでは、ΔfR は10kHz。すなわち、100μ秒の周期で時間遅延が繰り返し起きている。

データ取得ソフトウェア HASSP-Scope の画面
上図は、全データ取得時間 100ミリ秒のデータがそのまま表示されたもので、下図は、更にアベレージングを行った後の主なテラヘルツ波形のピークの範囲を拡大表示したものである。
(全データ取得時間:2秒)
表示されたトレースには、水蒸気が存在していた。

ZnTeとGaPオプションでの典型的な THzサンプルスペクトル
縦の目盛は、7.5THzを越えてノイズフロアに正常化されたスペクトル強度を示します。>1000s の獲得時間で、>100 dBのピークダイナミックレンジがZnTeオプションで10gHz の解像度で達成されます。変調は、適切な参照計測を参照するときにキャンセルするエミッター基質内のファブリィ-ペロー干渉に依るものです。

HASSP-THz 高分解能テラヘルツ分光器
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NOVANTA社 HASSP-THz
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主な特長
  • テラヘルツ時間領域分光システム
  • ASOPS(非同期光サンプリング)技術を採用
  • スペクトル領域 6.5THzの測定が可能
  • 波数分解能:最大1GHz
  • 超高速データ取得(シングルスキャン測定は 100μ秒)
HASSP-THz技術

有効な技術として、HASSP-THzは 高速非同期光サンプリング方式を採用しており、単体のフェムト秒レーザーや機械式の時間遅延ステージをベースとした従来の超高速時間領域測定技術では不可能であった、高速スキャンレートで高い周波数分解能の測定が可能となっています。高速非同期光サンプリング技術では、繰り返し周波数がわずかに異なる2台のフェムト秒レーザーを使用します。この繰り返し周波数は、1GHzと非常に高い周波数で2台はΔfR=10kHz(オプションのGaP結晶では2kHz)だけ離調され、ΔfRから計算されるスキャンレートでゼロ秒と1ナノ秒の間をスキャンする時間遅延をもつポンプ光とプローブ光のパルス列を生成します。この分光法では、機械的時間遅延ステージを必要としません。

HASSP-THzでは、テラヘルツ波が試料を透過あるいは反射したときのテラヘルツ波の時間波形 をフーリエ変換することにより周波数スペクトルを得ることができます。
HASSP-Scopeによって、ユーザーが設定した更新速度で スペクトルを常にモニターすることができます。

HASSP-THzによって得られる信号のSN比は、検出器のショットノイズが原因で制限されます。このように、SN比はユーザー定義のデータ取得時間に直接比例します。ビデオレートでは、ダイナミックレンジは60dB(GaPオプション時30dB)です。データ取得時間をさらに伸ばすと、ダイナミックレンジの値はより高くなります。1分以内で60dB以上のダイナミックレンジを実現することができます。

フーリエ長解析(周波数分解能)の関数としてHASSP-THzで達成される典型的なピークダイナミックレンジ。
HASSP-THzシステムでは、データを評価するとき、必要とされる周波数解像度を選択できるように、全1nsが常に記録されることに留意してください。
HASSP-THz(GaPオプション)の積分時間の機能として3つの異なった周波数(1THz 、3THz、6THz)で示された典型的なダイナミックレンジ。HASSP-THzで150MHzの精度が得られることが実証され、すでに既存しているどの時間領域分光器よりも格段に優れています。
THzを用いて測定した 大気中におけるテラヘルツ帯での吸収スペクトル(黒線)と既存のHITRANデータベースにより得られたテラヘルツ帯での吸収スペクトルの比較(測定時間:60秒および0.6秒)
HASSP-THzの構成部品

HASSP-THzは、様々なモジュールから構成されます。構成要素および機能性を、以下で示します。さらなる詳細については、仕様書を参照してください。

2台のtaccor powerレーザー
taccor powerは、1GHzの繰り返し周波数をもち、平均出力800mW以上、パルス幅30フェムト以下の出力が可能なフェムト秒レーザーです。2台がそれぞれ、ポンプ光およびプローブ光のパルス列を発生させることができます。

TL-1000 ASOPS繰り返し周波数・オフセット安定化ユニット
オフセット周波数の安定化をするTL-1000 ASOPSを用いて、高速ASOPSに必要な10kHzのオフセット周波数で(オプションのGaP結晶の使用でさらにオフセット周波数 2kHz)ポンプレーザーをプローブレーザに位相ロックすることができます。このシステムは、60フェムト秒以下の時間分解能(典型値は 45フェムト秒)を 1ナノ秒の測定時間窓の中で達成しています。

テラヘルツ分光モジュール
テラヘルツ分光モジュールは、アルミブロックからの削りだしによる堅牢な筐体をベースにしています。テラヘルツビーム用の光学部品を内蔵し、さらには気密構造にすることもでき水蒸気の影響を除去するために、真空排気またはパージして不活性ガスでガス置換しやすくなっています。電子光学検出ユニットは、テラヘルツ領域から独立したコンパートメントに位置しています。
2台のtaccorレーザーから発生したフェムト秒パルスを用いたテラヘルツ波の発生器および検出器は、テラヘルツ発生器はTera-SED3を使用しテラヘルツ検出器は (110)面ZnTe結晶(オプションのGap結晶)をそれぞれ基本としており、このモジュールによって0.5mm大の焦点スポットを見ることができる 測定用試料ホルダーをセットすることができ、テラヘルツ波の透過分光測定が可能となります。様々な試料を計測できるように測定モジュールを選択できます。

データ取得およびHASSP-Scopeソフトウェア
テラヘルツ信号は、サンプリング速度125MS/s、分解能14Bit でデジタル化されるので、ショットノイズ限界以下での検出が可能となります。データ取得は、調整可能な光学的に発生させたトリガー信号によって、トリガーがかかります。このトリガー信号は、2つの光パルスの繰り返し周波数に差をつけることで発生する遅延時間をランプさせた信号と同期がとれているため、高い時間分解能と6.5THzを超過したスペクトル領域の測定を達成しています。
最大1024データのシングルスキャン測定の平均化が可能なデータ取得用ボードを搭載し(ハードウェアによる平均化)、たったの100μ秒で実行します。(オプションのGaP結晶では500μ秒)HASSP-Scopeソフトウェアを用いてテラヘルツ信号が表示され、さらには 与えられた試料のダイナミックレンジを最適化するために、ユーザーが定めた数の任意のハードウェアのデータ取得や、付随するソフトウェアによる平均化を可能にしています。フーリエ変換機能のや、透過・反射スペクトル表示も可能です。

HASSP-THzを使った透過分光測定の配置図。赤線は、入射されたフェムト秒パルスビームの経路を示す。TL-1000オフセット周波数安定化ユニットは、ここでは示していない。

応用

テラヘルツ分光
HASSP-THzは、利便性や高精度、高分解能測定を必要とする科学的な研究の応用に用いられるテラヘルツ分光装置です。ASOPSの原理によって、機械的時間遅延ステージがもはや不要となり時間波形におけるゼロ点を見つける必要が全くありません。アライメントの際に生じる誤差がなくなり、遅延時間も大きくなるので、高精度・高分解能を実現しています。

動的過程のテラヘルツ波研究
HASSP-THzの高速データ取得能力(1GHzの周波数分解能で、最高10000サンプル/秒のシングルスキャントレース)によって、急速な変化のある環境における 動的過程の観測および研究が可能となっています。
※高速データストリーミング処理機能を有するデータ取得用ボードも搭載していますが、HASSP-Scopeソフトウェアではサポートされていません。

テラヘルツイメージングの応用
さらに 上記のHASSP-THzの高速データ取得能力により、テラヘルツ分光イメージング装置を用いた応用における画素滞留時間の短縮も可能となっています。このように、2,3秒で画像を表示することができます。イメージングのために X-Y-(Z)方向に試料をスキャンする測定用試料ホルダーは、別途ご用意ください。

仕様
HASSP-THz
標準構成(ZnTe EO結晶) 高帯域幅構成(GaP EO結晶)
測定周波数帯域 0.05-3 THz 0.05-6 THz
周波数分解能 1 GHz (0.03 cm-1) 1 GHz (0.03 cm-1)
スキャン周波数 最大10 kHz 最大2 kHz
時間遅延窓 1 ns 1 ns
周波数精度 <500 MHz <500 MHz
ダイナミックレンジ(@周波数分解能 10GHz)
※測定モード:透過(標準搭載)1
≧ 90dB @ データ取得時間 100ミリ秒(パワースペクトル最大値)
≧ 70dB @ データ取得時間 1秒(パワースペクトル最大値)
≧ 60dB @ データ取得時間 100ミリ秒(パワースペクトル最大値)
≧ 40dB @ データ取得時間 1秒(パワースペクトル最大値)
ダイナミックレンジ(@周波数分解能 1GHz)
※測定モード:透過(標準搭載)1
≧ 80dB @ データ取得時間 100ミリ秒(パワースペクトル最大値)
≧ 60dB @ データ取得時間 1秒(パワースペクトル最大値)
≧ 50dB @ データ取得時間 100ミリ秒(パワースペクトル最大値)
≧ 30dB @ データ取得時間 1秒(パワースペクトル最大値)
試料上における集光スポットサイズ Ø~0.5 mm Ø~0.5 mm
寸法(分光器本体) 約 60x150x30 cm (幅×長さ×高さ) 約 60x150x30 cm (幅×長さ×高さ)
試料ホルダー 試料用標準ホルダーの他、カスタムホルダー(オプション)対応可 試料用標準ホルダーの他、カスタムホルダー(オプション)対応可
電源 単相110V~230V 50Hz~60Hz 単相110V~230V 50Hz~60Hz
動作温度 15℃~25℃ 15℃~25℃

ノバンタ社は、常に製品の改善に努めているために仕様は予告なく変更する場合があります。
1ATR あるいは反射モジュールを装着すると、ピークダイナミックレンジは 5dB減少します。

機械仕様
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