ラマン分光は、材料や細胞、組織に関する化学組成情報を収集するための手法である。ラマン過程は、試料に含まれる分子の振動に伴う励起光の散乱によってもたらされ、生物化学的成分を豊富に含んだ試料から分子固有の振動状態に関するコントラスト像をラベルフリー(蛍光標識不要)で観察することができる。このように、試料に適合する分子の分布状態に関する2次元情報を取得することができるのは、生物医科学の分野にとって非常に魅力的なことである。しかし、ラマン散乱過程における効率は極めて低く、それゆえ、単一2次元画像を取得するのに時間(数分から数時間)がかかる。このため、ラマンイメージングによるin vivo(生体内)研究や容量分析による情報の取得は、実質上、不可能だ。本アプリケーションノートでは、干渉計チューナブルフィルタ及びCobolt製小型MLD 638nmレーザーを用いたデジタルスキャン光シート顕微鏡(DSLM)をベースにした高速2次元ラマンイメージング法[1]に対するアプローチ(近刊)について紹介する。