量子材料は、適切な操作により、新しい予期せぬ電子状態を発現するという魅力的 な傾向がある。理想的には、そのような操作によって強力で不可逆な変化が誘発さ れ、新しい関連する長さスケールがもたらされるはずである。塑性変形により、材料 に多数の転位が導入され、これが拡張構造に組織化され、巨大な局所的歪みの結 果として質的に新しい物理現象が生じる可能性がある。しかし、このアプローチは、 従来可能な限り原始的でクリーンになるように成長してきた量子材料のコンテキスト ではほとんど研究されていない。ここでは、塑性変形によって量子常誘電体SrTiO3 に強力な磁性が誘発されることを示す。この特性は、純粋な材料にはまったく見られ ない。走査磁気測定と近接場光学顕微鏡を組み合わせて、磁気秩序が転位壁に沿 って局在し、壁に沿って強誘電秩序と共存することを発見した。磁気信号は外部応 力によってオンとオフを切り替えることができ、外部電場によって変化する。これは、 塑性変形したSrTiO3が量子マルチフェロイックであることを示している。 これらの結果により、塑性変形は量子材料の電子特性を操作するための多機能の ノブ(knob)であることが確立された。