2光子励起顕微鏡法を利用した場合、生体の観察可能な深さは、生体自体の内部散乱により制限される。濃く染色したマウスの脳を可視化するにあたって、観察深さが脳の表面から500μmを超えると、2光子吸収による励起子の閉じ込め(光導波路の形成)や信号-バックグラウンド比(SBR)は大幅に低下してしまう。この問題を解決するべく、2013年、米国コーネル大学のXu博士らにより、英国科学雑誌『 Nature Photonics 』にて 波長 1.3μm又は1.7μm付近の近赤外領域に励起光をシフトした3光子励起顕微鏡法(又は 3光子励起蛍光顕微鏡法 / 3PEF:3-photon excitation fluorescence imaging)の利用が報告された。この試みにより、光閉じ込め効果(3光子励起光電効果)が高められ、励起光源に近赤外光を用いることで生体内での光散乱が軽減でき、深部イメージング能力が飛躍的に向上した。3光子励起顕微鏡法を用いることで、生きたマウスの脳組織を脳表から1mmを超えた深部まで、細胞レベルの分解能でイメージングすることができる。さらに、3光子励起蛍光イメージングは、第3高調波発生(THG)とも容易に組み合わせることができ、神経細胞を形態学的にイメージングすることも可能である。( → 生体組織細胞の分子活性と形態情報の同時観察が可能になる)近年、この3光子励起顕微鏡法は、生体組織の深部観察に適した高強度・近赤外レーザー光源の開発が進むにつれて実用化されつつあるが、本研究では、さらなる有望かつ新たな応用展開の可能性を探求するが、当社が扱うCycle社のSoplanoが方式は異なるがこれに該当する。