NIR 領域(800~1050nm)における検出器の弱点は、この範囲で量子効率が約 40%から 0%まで低下することから、785nm ラマン分光法の主な欠点となっています。通常、良好な信号対雑音比を達成するには長い露出時間とスペクトルの平均化が必要ですが、この方法では達成される時間分解能が大幅に低下し(数分)、数百ミリ秒しか存在しない化合物の弱い信号を観察できなくなります。より効率的な NIR 検出器(背面薄型 CCD など)を使用しても、エタロニングを抑制するのが難しいため、通常はこの問題は解決されません。この欠点は、効率的な収集光学配置と、とりわけ高いレーザー光束を組み合わせることで回避できます。安定した高出力レーザー(サンプルで 500mW)と、サンプルの損傷を制限する収集用の大きな共焦点ボリュームにより、スペクトルあたり 100 ミリ秒という低い時間分解能を簡単に達成できます。